従来看護師に与えられた医療行為には静脈血の採血や注射、導尿、膀胱留置カテーテル挿入などがありました。これらに含まれない処置に関しては、そのほとんどが医師にのみ行う権限が与えられています。しかし、実際に診療現場では動脈血の採血、腹水穿刺など比較的簡単で安全かつ日常的に頻繁に行われる処置であるにも関わらず、医師にしか権限がなく、夜間・休日にこのような処置のために医師が来院しなければならない、というシーンが日常的に見られています。病棟では看護師は24時間誰かがそこに常駐しており、看護師の権限を広げることが質の高い医療に繋がると考えられます。

診療看護師はこういった背景からできた制度で、特定の教育機関で一定期間の研修を受け、試験に合格した看護師が資格を得ることができます。教育機関では800時間以上の講義および実技実習を受けたうえで、筆記および実技試験があり、日常の看護業務を継続しながら行うことはなかなか難しいのが現状です。この資格を得ることによって、病院内で動脈血の採血など様々な処置を行う権限が与えられますが、実際に行う上では病院毎に定められた指標に基づいて、処置の種類ごとに厳しい実技チェックを受ける必要があります。

このような厳しい訓練を積んだ診療看護師は救急や手術も含めた様々な医療現場で大活躍できます。病院にとって価値ある存在ですので、月々の給料にもその資格が反映されることが多く、将来的なキャリアアップにも繋がると考えられます。また、診療看護師は転職する際に有利に働く資格と言えるので、看護師として長く働きたい方はぜひ目指してみてはいかがでしょうか。